後を絶たない投資詐欺

未公開株、外国通貨、自然エネルギー、「プロ向けファンド」の悪用など、投資詐欺は様々な手口であなたを襲います。

政府広報が力を入れて注意喚起しても、後を絶たない投資詐欺。そもそも情報弱者を狙うわけですから、政府の注意も、金融庁の警告も、さまざまな投資詐欺防止サイトも、まったく目にしたことがないようなシニア層が騙される構図になっています。少し前のデータでは2年間で2300件の被害!と書かれているので、あくまで想像ですが、金融庁には極一部しか声が届いていないのでしょう。巷には、もっとたくさんの詐欺被害があるものと思われます。

以下は、政府広報オンラインからの引用です。最近の手口としていくつかのパターンが紹介されていますが、残念ながら詐欺案件は常に進化します。気を付けてと言われる手法にだけ身構えていても、つい騙されてしまうのが投資詐欺なのです。

それでもこうして情報を仕入れ続けることで、情報の正しい取捨選択ができるようになるはずですから、きちんとアンテナを立てておきましょう。

最近多いとされる手口

「未公開株」
ある企業の株式について、近々証券取引所に上場(公開)する予定であり、上場すれば高値が付くのは確実、安価な今のうちに買って上場後に高値で売れば差額が儲けになる、といった「未公開株」にかかわるもの。

「外国通貨」
ある開発途上国では様々な開発プロジェクトが進んでおり、近い将来、大きく経済成長する。その国の通貨を安価な今のうちに買っておき、経済成長に応じて値上がりしたところで売れば儲かる、といった「外国通貨」にかかわるもの。

「権利」
風力発電や太陽光発電、HIVやiPS細胞など、その時々に話題となっているキーワードに関連して、発電設備を設置する土地の権利や、新技術に関する知的財産権などへの投資を勧誘するものもあります。

いずれも取引の実態があいまいだったり、業者の説明にウソや不備があったりするなど、まともな投資勧誘とはいえないものが大半です。しかも悪質事業者は、A国通貨の悪質勧誘が一般に知られればB国通貨に投資対象を変えたり、風力発電関係の悪質勧誘が広く知られればHIV治療薬開発に関する投資話に切り替えたりするなど、手を替え品を替えて消費者に接近しようとしてきます。
投資対象についてよく分からない勧誘には、安易に乗らないようにしましょう。

「劇場型」
これらに加えて、一見、別々の会社を装った複数の人間が口裏を合わせて、一人の消費者を騙しにかかる手口が併用されることがあります。悪質業者の一味が別々の登場人物を演じることから、「劇場型」と呼ばれる手口です。
例えば消費者が、証券会社A社からX社の未公開株の購入を勧められた直後、別の投資コンサルタントB社から「X社の未公開株を欲しいが当社は直接購入する資格がない。後日高値で買い取るので代理で購入してほしい」と勧誘することで、消費者に「別々の会社であるA社とB社が同様に注目するならX社の未公開株は有望なのかも」などと思わせる手口です。
このほか、2社にとどまらず数社の「役者」が入れ代わり立ち代わり登場して消費者を誘導しようとする例もあり、一般の消費者がそうした巧妙な「劇場型」手口に一旦乗せられてしまうと、冷静な判断力を保つことは非常に困難です。

プロ向けファンド

さらに、近年相談が増えているのが、「当社は金融庁に『届出』をした業者です」「当社は限られたプロ投資家を対象とした『プロ向けファンド』を運用している業者です」などとして消費者を信頼させようとする手口です。

通常、一般消費者を顧客としたファンドを運用・販売するためには、様々な条件や規制を伴う「登録」を金融庁(財務局)から受ける必要があり、登録した事業者が不当行為を行えば、業務停止命令を含む行政処分を受けることがあります。
一方、「プロ向けファンド」は、主として、証券会社や銀行、投資会社などの「プロ投資家」(適格機関投資家)に売るために組成されたファンドをいい、広く一般消費者に向けて売られることは想定していません。そのため、これまでプロ向けファンドの運用・販売を行う事業者は、「登録」よりも条件や規制の緩い金融庁への「届出」で済み、不当行為に関する行政処分は定められていませんでした(※)。

しかし、投資詐欺では「プロ向けファンドを販売する」として金融庁には届出で済ませた悪質事業者が、実際には投資に関する知識・経験の少ない一般消費者にファンドを勧誘・販売し、被害をもたらす例が現れたのです。しかもその際、冒頭に紹介したように、「プロ向けだから」と希少性や高収益性をにおわせる説明をしたり、逆にプロ向けに複雑な仕組みを持つファンドにもかかわらず十分な説明をしなかったり、また「金融庁への届出」をあたかも金融庁のお墨付きを得ているかのような説明をしたり、といった事例もあります。

以上が政府広報掲載の話です。

特別な案件は、特別な人にしかやってきません

プロ向けだとか、特別な案件だとか、ここだけの話だとか、そんなものが向こうから勝手に近づいてくるわけがありません。なぜ自分なんかにこの情報が届くのか、そのストーリーに疑いの目を向けることが、まず必要なのです。あなたも、わたしも、特別な存在なんかではありません。目を覚ましましょう。

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